2014-10-13 09.31.06

 昔から本を読むのが苦手で、1冊の本を読むのに1カ月は当たり前!そんな私ですが、面白い本にであうと恐ろしいほど早く読めるものですね。

 今回読んだ池井戸潤氏の「かばん屋の相続」は3、4日で読んでしまいました。下記にその概要と感想を明記します。

かばん屋の相続

 まずは出版社の紹介文を掲載します。

池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された2人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに? 表題作他5編収録

 そう、この本は実は短編小説集で、6つの短編小説が掲載されていました。全然その事に気がつかないで買ったのですが、短編ということもあり、スラスラと読めてしまいました。この「かばん屋の相続」は6つの短編の中で一番最後に掲載されています。

 このストーリーでは父親がなぜ長男に相続したのかが謎だったのですが、最後まで読んで納得です。ストーリー中には信金の行員と元銀行員が出てくるのですが、この対決もなかなか見物です。

 ストーリーは50ページほどの短い話なのですが、池井戸さんらしく専門用語がいくつか出てきても親切丁寧に解説されているのでわかりやすいです。例えば「裸与信」や「にらみ預金」など、私だけかもしれませんが、全然知らない言葉が出てきます。

 それとこの話で

仕事はゲームだと思え。真剣に遊ぶゲームだ。いつもうまくいくゲームなんかつまらないじゃないか。成功七割、失敗三割。そのくらいの人生の方が絶対に楽しいぞ。おれだってそうだ

という言葉がありました。確かにゲームかもしれません。仕事だけじゃなく人生もある意味ゲームでしょう。そのゲームをどう楽しむかはその人次第。せっかくなら楽しいゲームをやりたいですからね。

 

十年目のクリスマス

 こちらのストーリーを私なりに紹介すると下記の通りです。

銀行員の永島慎司はデパートの宝飾品売り場で十年前に担当していた中小企業の神室電気社長である神室彦一を目にした。神室は店内で羽振りの良い買い物をしていたが、永島には信じられない光景であった。永島は十年前の出来事を思い出しながら、神室に何が起きたのかを調べはじめた。

 解説にも書かれていましたが、この話の中では思いでの話はあるものの、現実に戻ったストーリーでは室伏氏が一言も話していないのに話ができているのは驚きです。

 その室伏氏が過去に語った言葉で

会社を経営するんだったら常に出口を用意しておくことが必要

と、いう言葉が納得でした。

セールストーク

 こちらのストーリーは

大田区の小島印刷は月末までに5千万の融資が必要なのに断られた。もうどこからも調達することはできないだろうと思われていたら月末に突然5千万が振込まれた。疑問に思い調査したところ、思わぬところから借りていた。その貸したところとは!

と、いった感じでしょうか。池井戸氏得意の思いもよらないところから出てくるお金が何とも楽しかったです。

手形の行方

行内の問題児とされている堀田はタバタ機械から集金した千万円の手形を紛失した。行内全てを全行員で探し、堀田の行動を追いかけるが一向に見つからない。その手形の行方はどこに。

 人間であれば必ずミスはあるもの。そのミスには「紛失」という言葉もあるでしょう。銀行でも紛失はあってもおかしくありません。けど、絶対に許されたに銀行で紛失した場合の対処方法はどうするのかがわかってなかなか面白かったです。

芥のごとく

豪傑女社長が運営する土屋鉄商は新人の山田一が担当することとなった。土屋に気に入られた山田は業績の悪い土屋鉄商を何とか立て直そうと頑張るが、その思いとは裏腹に会社の経営は厳しい状況に。山田の思いは土屋社長に届くのか。

 経営が厳しい会社は沢山あります。逆に余裕で運営している会社は数少ないことでしょう。中小企業であればいくらアベノミクスがよくても、その多くは厳しいのは事実。このストーリーではその厳しい状況を運営している必死の経営者が出ています。そして最後は・・・。現実はこのような物なのかもしれません。

妻の元カレ

銀行員のヒロトが自宅の引き出しから一通の案内を見つける。その案内は妻の元カレが起業し、代表取締役に就任したことを伝える妻宛てのハガキだった。ヒロトは冷静を装いながら妻に対する不信感が増していく。

 池井戸氏の本はいくつか読んでいますが、夫婦仲の話をメーンに書いたストーリーはこれがはじめてでした。正直、私はあまり好きな話ではありません。

最後に

 どのストーリーも池井戸氏らしく銀行または銀行員が出てくる話です。ストーリーもその内容かと思ったのですが、「妻の元カレ」だけはちょっと異色でした。たまにはこのような内容を書きたくなるんでしょうかね?

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順位39,640位

池井戸 潤

発行文藝春秋

発売日2011/04/10

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