本「不幸、買います」

 以前読んだ「一億円もらったら」の続編、赤川次郎作の「不幸、買います―一億円もらったらII―」を読んだので下記にその感想を明記します。

 まず、この小説の解説は以下の通りです。

「さぁ、誰に一億円をあげようか」大富豪・宮島勉とその秘書田ノ倉は、困っている人に一億円を進呈し、その後の人間ドラマを観察するというゲームを続けている。今回登場するのは、笑いが顔に張りついてしまった男、出所したばかりの老金庫破り、財産を狙われる孤独な婦人……。金は魔物と言うけれど、果たして彼らの運命は。大好評シリーズ第二弾。『老兵に手を出すな』改題。

 構成は第一弾と同じで、上記に書かれているように大富豪が一億円を贈呈してその使い道を随時報告すればいいという夢のようなストーリーです。この本も5つの短編に分かれています。

不幸、買います

 まず最初のこのストーリーに登場する50代の中里成利はいつからか常に笑った顔になってしまいます。中里は付き合っている櫻井佐知子とこの顔に悩みながら将来を考えるなか、田ノ倉から顔を治す費用として一億円が提供されるが・・・。

 たった60ページほどのストーリーだったのですが、やっぱりすごく面白かったです。実際に常に笑っている人がいるのか知りませんが、もし、自分が同じように常に笑っていたら悩むだろうな。

 この「常に笑顔になった顔」というのを聞いて学生時代(だったかな?)にちょっと読んだ「エンジェル伝説」を思い出しました。この漫画はまったく逆ですごく真面目な学生だけど、顔が恐ろしく怖いという話し。この漫画も非常に面白かったです。

老兵に手を出すな

 2つめのストーリーは75歳の永沢浩志が10年前にある会社から1億円を盗んだといわれて捕まった。刑務所から出所した永沢に1億円を奪おうとする元子分の熊田と当時の担当刑事の中谷がつきまとう。そして、その1億円を巡って事件が。

 第一弾の本では秘書の田ノ倉が一億円を提供する人を探して、ストーリーが始まることが多かったのですが、第二弾のこの本では田ノ倉や宮島のもとににきて、一億円を与えるようなストーリーになっています。

 このストーリーも面白いですね。どこで田ノ倉が一億円を渡すのかが気になりながら読み進めましたが「そこで渡すのか!」「いや、そっちか?!」と思っちゃうような渡し方で予想外でした。それと、タイトルの付け方が上手いですね。

崩壊家族

 3つめのストーリーは年老いた老婆である木谷結(ゆい)がある日、突然倒れた。倒れた結を見つけたのは娘の神山恵。すぐに病院へ運ばれ、応急処置を行った。翌日、病室へ恵が行ってみると40年以上前に結と付き合っていた宮島がいた。宮島は結に1億円を渡したが、これにより醜い身内の争いが始まる。

 よく、宝くじで大金が当たったらどうしようかと、夢のような話しをすることがあります。しかし、噂によると、大金を手にするとろくな事なく、湯水のようにお金は消えていくようなことをよく聞きます。このストーリーではまさにお金が生んだ人の欲望を表しています。

見開きの町

 N市の西側出身の浅井元治はホテルのベルボーイを勤めていたが、そこに東側出身で元恋人の紀子が中年の飯沢と表れた。紀子を忘れられない浅井は紀子のもとへ。二人は飯沢を殺して逃走しようとするが浅井は捕まった。その時に宮島と田ノ倉が遭遇し、宮島は田ノ倉に人質になことを指示して紀子の逃走を手伝う。紀子は故郷のN市に行くがそこには西側と東側の差が。

 これを読んで発展し続ける南の韓国と貧しく明日の食事もまともに取れないといわれている北朝鮮を思ったのは私だけでしょうか。日本にこのように貧富の差がはっきりした地域はないと思いますが、昔はあったのかもしれません。タイトルの「見開きの町」とはこれまた上手く付けたなと思いました。

青春の決算

 最後はガンの告知を受けた安部靖代は病院でその直後に気を失った。自宅に戻った45歳の靖代は突然、娘の絹江のセーラー服を着て「今日は私にとって記念すべきな日なの」と言って家を飛び出してしまった。靖代は精神状態が17歳の少女に戻ってしまったのだ。ひょんなことで知り合った宮島と田ノ倉は記憶のもどった安部家に1億円を提供し、記念すべき日にタイムスリップさせたのだった。

 このストーリーを読んで先日読んだ東野圭吾の「秘密」を思い出しました。話しは全然逆なのですが、精神状態が変わってしまう話しって作りやすいんですかね?いずれにしても面白かった~。

最後に

 お金というのは目の前に表れると人を変えてしまう物なのでしょうか?無ければほしい物ですが、いざ手にすると「無ければよかった」と思うものとも聞きます。そうはわかっていてもやっぱり欲しいもの。お金って何でしょうね?